【社会保険】週20時間以上のパートへの加入拡大(従業員数101人以上の企業:2022年10月~)
2022年08月02日
労務相談事例
現在、従業員数501人以上の企業が対象とされているパート従業員の社会保険の加入義務が2022年10月以降は「従業員数101人以上」の企業まで拡大されます。2024年10月以降は「従業員数51人以上」の企業まで拡大予定です。
◆1.社会保険の加入対象となるパート従業員の要件
次の要件をすべて満たすパート・アルバイトが加入対象となります。
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)月額賃金が8.8万円以上
(3)2ヵ月を超える雇用の見込みがあること
(4)学生ではないこと
◆2.対象企業の判定となる「従業員数」
2022年10月以降「従業員数101人以上」の企業が対象となりますが、この判定で用いる「従業員数」に注意が必要です。
この「従業員数」は現在の「厚生年金保険の適用対象者」で判定することとされています。例えば、正社員(社会保険加入)40人、パート(社会保険未加入)70人の合計110人の企業の場合、現在の社会保険適用対象者は40人のため、2022年10月以降の対象企業には該当しません。
◆3.対象企業となった場合のコスト増加
対象企業となった場合、週20時間以上のパートの方を社会保険に加入しなければならないため会社負担の社会保険料も増加します。
例えば、週20時間以上の新規社会保険加入対象となるパート40人、年間賃金110万円/人の場合
会社負担の社会保険料概算=110万円×40人×15%=660万円
となり、経費が年間660万円増加するということは利益が660万円減るということです。
◆4.対策
(1)週20時間未満にシフトを減らす
これは働くパートの方も収入が減ることになり、企業も労働力が減るためパートを追加補充しなければならず、労使ともにデメリットになります。
(2)会社分割で会社を分けて従業員数を100人以下にする
一時的にはこの方法で凌げますが、2024年10月からは51人以上の企業が対象になりますし、おそらくその後いずれは従業員数1人以上の全企業が対象になると考えられます。会社を分けて人数を減らしたうえで今後の企業経営を考える必要があります。