【コロナウイルス対策】労働者を休業させたときの賃金補償と雇用調整助成金の特例(1人1日あたり8,330円上限)
2020年03月09日
助成金・補助金
コロナウイルス感染が拡大する中、消費者が外出を控え消費が激減したり、イベント
が中止となったりして会社経営が厳しさを増しています。従業員が働いていいる施設内
で感染者が出て自宅待機させたり、従業員が発症し休ませる場合の賃金の取扱いについ
て厚生労働省からリリースがありました。
- ◆1.会社命令で自宅待機させる場合の賃金補償
- 従業員が働いている施設内で感染者が出て自宅待機させるような場合や、受注の減少
により仕事がなく従業員を休ませる場合など「会社都合」のときは、使用者の責に帰す
べき事由に該当するものとして、会社は従業員に休業期間中の「休業手当」として平均
賃金の60%以上を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
なお、不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手
当の支払義務はありませんが、(1)その原因が事業の外部より発生した事故であるこ
と、(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのでき
ない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能かなどを十
分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしてい
ないときは休業手当の支払が必要です。
- ◆2.従業員が感染したため休業させる場合
- 新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休
業する場合は、会社は休業手当を支払う必要はありません。なお、社会保険に加入して
いる労働者であれば、要件を満たせば、「傷病手当金」が支給されます。具体的には、
療養のために休業した日から起算して3日を経過した日から、平均標準報酬日額の3分
の2が補償されます。
- ◆3.労働者が発熱などの症状があるため自主的に休む場合
- 会社が発熱などの症状があれば一律に労働者を休ませる措置にしている場合は休業手
当の支払が必要となりますが、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で発熱など
の症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱います。政
府としては、新たに特別休暇制度を設け賃金を支払うか、有給休暇を活用して欲しいと
しています。
- ◆4.コロナウイルス対策の雇用調整助成金の特例(1人1日あたり8,330円上限)
-
(1)適用要件(特例)
(イ)雇用保険の適用事業主であること
(ロ)売上高等の最近3ヵ月間月平均値が前年同期に比べて10%以上減少
(特例)最近1ヵ月間月平均値で判定できます。
(ハ)雇用保険被保険者数の直近3ヵ月間月平均値が前年同期に比べて10%を超え
てかつ4人以上(中小企業以外は5%を超えて6人以上)増加していないこと
(特例)雇用者数が増加していても対象となります。
(ニ)所定労働日の全一日を休業させる、又は出社させても教育訓練を行い、業務に
就かないこと等(2)助成金額(休業の場合)
従業員に支給する休業手当×2/3(中小企業以外1/2)
(1人1日あたり8,330円上限)
(注1)1年間で最大100日分、3年間で最大150日分受給できます。
(特例)前回の支給対象期間の満了日から1年以内であっても助成対象にな
ります。また、過去の受給日数にかかわらず今回の特例対象となっ
た限度日数までの受給が可能となります。
(注2)休業手当として会社は平均賃金の60%を支払う必要があり、そのうち2/3
が助成金として補填されます。(3)手続
(イ)事前手続
事前に休業等計画書の提出が必要
(特例)令和2年1月24日以降に休業を行う場合、令和2年5月31日までに提出
すれば事前に届け出たものとみなされます。なお、令和2年7月23日ま
でに休業等の初日がある場合が特例の対象となります。
(ロ)支給申請
休業等を実施する期間(1~3ヵ月分の賃金締切期間で任意)が終わったら2
月以内に助成金の支給申請を行います。(4)Q&A
(イ)雇用調整助成金の「休業」について、全員を休業させなくてはいけないのか。
→全員でなく、一部の従業員を休業させる場合も助成金の対象になります。例えば、
事業所の半分の従業員を出勤とし、もう半分の従業員を休業させる場合、休業さ
せた従業員分の休業手当は助成金の対象となります。ただし、終日ではなく、短
時間休業を行う場合には、1時間以上、かつ、従業員全員が一斉に休業する必要
があります。
(ロ)雇用保険の被保険者でない労働者は助成対象にはなりませんか。
→なりません。