【税務調査】印紙税の単独調査

2019年11月23日

税務調査

 先日、何年ぶりでしょうか、顧問先に印紙税の単独調査が行われ、立会ってきました。

 印紙税の調査は、通常、法人税の調査の中で契約書などを確認して印紙税の貼り忘れがないかチェックされることが一般的です。

 しかし、年商が一定規模以上だと契約書などの印紙税の課税文書が相当数あると見込まれるため、法人税の調査とは別に印紙税だけの調査が行われます。中小企業では印紙税の単独調査が行われることは稀でしょう。

 印紙税の単独調査では、印紙税に関することのみ調べられるため、法人税の調査とは視点が異なります。

印紙税の単独調査ではどのようなことが調べられるのでしょうか。
 印紙税の調査では、まず業務フローが確認されます。
 顧客から注文を受ける際にどのような書類を作成するのか、見積書や注文書、納品書、請求書、それから契約書などどのように作成、保管しているのか確認されます。
 また、売上代金の回収について、振込みなのか、現金回収なのか、領収書はどのようなものを使用しているのか確認されます。

 この業務フローの確認の中で、印紙税を張らなければならない課税文書を把握していきます。

印紙税の課税文書の把握以外にどのようなことが調べられますか。
 印紙税の単独調査の独特に視点が、印紙の購入・使用履歴をどのように管理しているのか問われます。具体的には、「印紙の管理簿」がないか確認されます。印紙の管理簿がない会社も多いですので、その場合は、総勘定元帳などで印紙の購入頻度、購入金額を確認されます。

 課税文書のおおよその量と印紙の購入頻度に明らかな差異があると認められる場合は、まだ把握できていない課税文書があるのではないかということになります。

印紙税の単独調査で気を付ける点はありますか。
 契約書などへの印紙の貼り忘れは少なからず生じます。

 税務調査の前に、契約書などへの印紙の貼り忘れがないかチェックし、貼り忘れていれば事前に貼っておくということを実務上行うことが多いです。

 しかし、平成30年7月から印紙が新たなデザインとなったため、それ以前に契約書などに平成30年7月以降のデザインの印紙を貼った場合、明らかに調査が行われる直前で貼ったことが分かってしまいます。印紙のデザイン変更は盲点です。


 印紙は経費に計上できますが、税務調査で印紙の貼り忘れの指摘を受けた場合、自主申告の場合は1.1倍相当額、それ以外は3倍相当額が過怠税(いわゆる罰金)として課税されます。この過怠税は、税務上、経費としては認められません。

 例えば契約書に4000円の印紙を貼り忘れた場合、自主申告の場合は4400円が過怠税として納めなければなりません。注意点は、貼り忘れた契約書に4000円の印紙を貼ってはいけません。過怠税4400円の中に本来貼るべきだった4000円が含まれており、契約書に4000円を貼ってしまうと重複してしまうことになります。