【税務調査】交際費、販促費で処理している商品券
2019年01月25日
税務調査
客や仕事を紹介してもらった謝礼として商品券を渡すことがあります。通常、商品券を購入し、渡した時に交際費や販売促進費で経費計上します。
税務調査では、経費計上した商品券が問題になるケースが多々あります。
商品券の場合、購入した領収書は当然保管されていますが、これを「誰に」渡したのかがポイントになります。税務調査での立証責任は課税当局側にありますが、商品券を誰に渡したのか具体的な証拠の提出は会社側に求めてきます。判例においても課税当局が立証するのに必要な資料は会社側から容易に提出できるはずであり、提出しないことは業務との関連性がなく、経費として認められないとして、会社側からの資料の提出を必要としています。
商品券の経費計上が否認された判例があります。
●水戸地裁平成27年1月29日判決
商品券経費計上額 平成19年4月期200万円、平成20年4月期200万円、平成22年4月期300万円
会社は商品券の使用リスト(渡した日付、相手先)を提出したが、「使用リストや会社の主張のもとになっている供述等は具体性を欠くものであり、商品券の使途を具体的に明らかにするに足りるものであるとは認め難い」として、経費計上が否認されました。
●水戸地裁平成27年1月29日判決
商品券経費計上額 平成18年12月期360万円、平成20年12月期270万円、平成21年12月期360万円
「商品券の受払簿や、個々の配布先、配付金額等を記載した客観的なリスト等は存在しないうえに、会社の主張ないし代表者の供述は合理的理由なく度々変遷している」として、経費計上が否認されました。
このように、商品券の経費計上については、購入した事実を証する領収書の保管だけでは不十分であり、商品券の①配布時期、②配布先、③配賦金額などを明らかにするための商品券の受払簿を残しておくことが必要です。
弊社の顧問先でも商品券が税務調査で問題になったことがあります。
T社 商品券経費計上額 年50万円
C社 商品券経費計上額 年300万円
しかし、両社ともに商品券の受払簿を作成していたため、商品券の経費計上が認められました。商品券の経費計上はすべて否認されるという訳ではありません。