【法人税】社葬の経費の範囲、香典収入
2017年08月02日
税法相談事例
会長や社長が死亡した場合、社葬を行うことがあります。社葬とは、会社が施主として行う葬儀のことをいいます。
以前、社葬費用を経費計上した法人の税務調査があり、施主が会社であるかチェックされました。施主が遺族個人だと社葬ではないため、会社の経費は否認されます。
社葬として会社の経費とする場合のポイントは、次の3点です。
(1)社葬とすべき故人かどうか
(2)社葬費用として経費に計上できるのはどこまでの範囲か
(3)香典は会社の収入に計上しなければならないか
- 社長のお父さんが亡くなった場合、社葬として費用計上できますか
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法人税法では、(1)社葬を行うことが社会通念上相当であると認められること、かつ、(2)社葬のために通常要すると認められる費用であることを条件に、社葬費用を福利厚生費として損金に算入することができます。
社葬を行うことが相当であるかどうかは、故人の生前における会社への貢献度(会社における経歴、職務上の地位)や死亡事情(業務上、業務外の区別)に照らし、会社が社葬費用を負担するに足る充分な理由があれば、損金として認められます。
ただし、会社への貢献がないにもかかわらず親族であるという理由だけでは社葬費用を損金に算入することはできません。
- 社葬費用として会社が負担し、経費に計上することができる支出の範囲を教えて下さい
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社葬費用として損金に算入することができるのは、具体的には次のようなものがあります。お布施などは領収書がなくてもメモ書きで支出した金額を記録しておけば大丈夫です。
(1)社葬の通知、広告に要する費用
(2)僧侶へのお布施
(3)葬儀場、臨時駐車場の使用料
(4)遺骨、遺族、来賓の送迎費用
(5)祭壇、祭具の使用料
(6)交通整理等の警備員の費用
(7)供花、供物、花輪、樒の費用 運転手、葬儀委員への心付け
(8)受付用テント、照明器具などの使用料
(9)遺族、葬儀委員への飲食代
(10)受付備品、案内紙、会計備品の費用
(11)会葬者への礼状や粗品代また、会社で社葬費用として負担(経費計上)することができないものは、遺族が負担すべきものとされ、具体的には次のようなものです。
(1)密葬の費用 仏具、仏壇の費用
(2)初七日の費用
(3)墓地霊園の費用
(4)四十九日の費用
(5)戒名料
(6)香典返し等の返礼に要した費用
(7)納骨の費用
- 社葬の場合、香典は会社の収入に計上しなければなりませんか
- 会葬者からの香典収入については、会社の収入に計上する必要はなく、遺族の収入となります。