【確定申告】不動産所得を勤務先に知られたくない場合~赤字申告

2015年03月15日

税法相談事例

 私どもは不動産投資家の方の確定申告を多く手掛けており、そのためこの時期に問い合わせが多いのが勤務先に不動産所得を知られたくないというものです。ほとんどの会社の就業規則に副業禁止規定があるためです。

 不動産所得が黒字であれば、簡単です。確定申告の第2表の住民税欄で住民税の徴収方法として「普通徴収」として申告すればいいだけです。給与所得にかかる住民税は勤務先で特別徴収として天引きされますが、不動産所得にかかる住民税は市役所から自宅に納付書が送られてきて、自分で納付します。

 このように普通徴収を選択して確定申告しておけば勤務先に不動産所得にかかる住民税が知らされることがないため、勤務先に不動産所得を知られることはありません。

 次に、不動産所得が赤字の場合です。不動産所得が赤字の場合、給与所得と損益通算でき、所得税の還付申告をします。所得税の還付を狙って主に築古の木造住宅を購入し、多額の減価償却費を計上する方です。
 
 この場合、先ほどとは違い、「普通徴収」にしても会社に不動産所得を知られる可能性が高いです。たとえば、給与所得が800万円、不動産所得が▲800万円の場合、合計所得はゼロになり、住民税もゼロになります。つまり、会社が給与から天引きする住民税もゼロということです。会社は給料を支払っており、当然住民税を天引きすると思っているところ、住民税がゼロの通知がきたら他に収入があると疑うでしょう。

 不動産所得が若干の赤字であれば医療費控除などもあるため住民税が少なくなってもバレないでしょうが、住民税がゼロとなるよな極端な不動産所得の赤字はバレる可能性が高いです。

不動産所得が赤字のときでも勤務先にバレない方法はありませんか。
確定申告は3月15日までに行わなければならないと思っている方が多いですが、この期限はあくまで所得税が納税となる方です。還付申告の方は時効にならない限り、2年後でも3年後でも申告でき、ペナルティはありません。

 住民税の特別徴収は6月から翌年5月で天引きされます。還付申告に期限がないことを活用し、まず3月15日までに確定申告書を提出しません。そうすると給与所得にかかる住民税が6月から特別徴収されていきます。翌年5月で住民税がすべて天引きされたら、そこで不動産所得の赤字を申告し、所得税の還付を受けます。つまり、約1年遅れで申告するというこです。住民税はすでに天引きされているため、赤字申告すると住民税は個人の口座に還付されます。会社を経由して還付されるわけではありません。

 このように不動産所得が極端に赤字の場合、通常は会社にバレる可能性が高いでしょうが、約1年遅れの申告であればバレないでしょう。ただ、1年間税金の還付を受けることができず、高い住民税が天引きされることがデメリットです。