労基署調査で安全衛生の是正勧告を受けた場合の対応
2014年09月30日
労務相談事例
- 労働基準監督署の調査があり、安全衛生について是正勧告を受けましたが、どのように対応すればいいでしょうか。
- 是正報告書には法律違反の条項と内容、是正する期限が記載されていますので、指定された期日までに、労働基準監督署へ是正報告書を提出することになります。是正勧告は行政指導であり、それ自体に法的拘束力はありませんが、対応しなかったり無視したりしていれば、法律違反という事実がありますので、監督官より書類送検等手続きを取られる場合があります。 資格取得に時間がかかる等であれば、期限については交渉の余地はありますが、できる限り速やかに対応するようにしましょう。
安全衛生について次の事項を整備しなければなりません。
(1)衛生管理者の選任
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業所は衛生管理者の選任が必要です。衛生管理者として選任するためには資格が必要です。従業員に衛生管理者の試験を受け、資格を取得してもらい、労働基準監督署に選任届を提出します。
また、事業所の労働者数により、選任しなければならない人数が定められています。50人以上200人以下 1人以上
200人超500人以下 2人以上
500人超1000人以下 3人以上
1000人超2000人以下 4人以上
2000人超3000人以下 5人以上
3000人超 6人以上((2)安全管理者の必要な業種かの確認
安全管理者が必要な業種でなければ選任は必要ありません。必要な業種に該当し、常時50人以上の労働者を使用している場合は、選任が必要です。安全衛生の業務に携わり実務経験2年~4年以上(理系学部卒業かどうかで実務経験の必要年数が違います)の従業員に安全管理者の研修を受講し、資格を取得してもらい、労働基準監督署に選任届を提出します。
<安全管理者の必要な業種>
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業((3)産業医の選任
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業所は産業医の選任が必要です。また、常時3000人を超える場合は2人以上の産業医の選任が必要で、常時1000人以上もしくは有害業務に常時500人以上の労働者を使用する場合は、専属の産業医の選任が必要です。
医師の資格および産業医の資格を取得している必要がありますので、地域の医師会や紹介会社に紹介をお願いする等により産業医と契約を行います。
毎月1回の安全・衛生委員会の出席および健康診断の結果の確認、従業員の健康相談、職場巡視等を行ってもらうことになります。
((4)総括安全衛生管理者の選任が必要かの確認
下記の要件に該当する場合は、総括安全衛生管理者の選任が必要です。総括安全衛生管理者は、事業場の安全衛生の責任者ですので、社長、役員、事業場長、総務部長等を選任し、安全管理者・衛生管理者を指揮し、事業場の安全確保に努めることになります。
100人以上 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
300人以上 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
1000人以上 その他の業種((5)衛生委員会(安全衛生委員会)の開催
毎月1回衛生委員会を開催しなければなりません。安全管理者を選任する必要のある業種については、安全委員会と衛生委員会(安全衛生委員会として1度に行っても構いません)を開催しなければなりません。
出席者は、総括安全衛生管理者(会社側役職者)、衛生管理者、安全管理者、産業医、労働者(安全衛生に関する知識のある者)で、議題は、安全衛生に関する内容、労働者の健康診断、健康管理について等の内容で、議事録を作成し、労働者に周知して下さい。